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2025年8月25日の投稿1件]

最近、読んで良かった本の感想です。王谷晶さんの『ババヤガの夜』と柚木麻子さんの『BUTTER』の2作品です。両方ともイギリスのダガー賞に選出されて結構話題になっていました。ババヤガはそのまま受賞、最近だとアメリカのラムダ文学賞の最終候補にもなったようです。どちらも女性の関係性の話ということで、絶対に読まなければと思っていたのですが、それぞれ違った良さがありました。ニュースなどではシスターフッドものとして評価されることが多いようですが、広義の百合ともいえるんじゃないかな……と個人的には思いました。以下、ネタバレありの感想です。
出典:河出書房新社公式サイト
出典:河出書房新社公式サイト

・似ているけど違うところ
どちらも女同士の関係性を描いているところや、その関係性に独自の答えを見出して前進していく、みたいな展開は似ていますが、関係性の描写の仕方は全然違うのが面白かったです。ババヤガは主人公があっけらかんとしているので、バディもののバトル漫画のような清々しさがあるのですが、BUTTERは往年の百合漫画的な愛憎入り乱れたじめじめとした関係性なのが対照的でした。柚木さんは他の作品も読んだことがあったのですが、女友達に対する憧れと嫌悪の入り混じった執着心みたいなのを描くのがうまくてすごいなと感服してしまいました(ナイルパーチの女子会とか)。百合好きの視点から見ると、里佳×伶子が良すぎてどうしてもCPにしたくなってしまいますが、恋愛関係じゃないクソデカ感情だからこその良さもあり、小説としてもこれまでの関係性から独立して新天地を見つけていくという終わり方がきれいでもあり、複雑な思いです……。

・強烈な登場人物
2作品ともに登場人物の癖が強いのも良かったです。ババヤガはなんといっても主人公が素晴らしいです。ガチガチの戦闘狂で、精神的にも肉体的にもちゃんと強靭なのがいい……。作中では女性だからこそ起きるトラブルみたいなのは出てきますが(男に襲われるとか)、本人の精神とか振る舞いの描写に女性っぽさ的なものがないのもいいです。男っぽい女に垣間見える女っぽさへの萌えみたいなのもなく、ただただフラットに強い女主人公が見たいと思っていたので刺さりました。
BUTTERも主人公、真奈子、伶子、全員それぞれキャラが立っていて非常に良かったです。序盤は真奈子のキャラクターに圧倒されますが、後半に進むにつれて最初は善の象徴のような存在だった伶子のクレイジーさがどんどん出てくるのが印象的でした。三者三様、お互いがお互いを理想化しすぎて歪な関係性になっているのが不気味で良かったです。

・仕掛けもすごい
物語以外の感想でいうと、大きなネタバレになりますが、ババヤガの叙述トリックはバイアスがあるほど引っかかるような内容になっていて感動しました。作品のテーマの一つに性別によるしがらみの話があると思うのですが、それを仕掛けに使っているというのがすごいなと思いました。
あと若干脱線しますが、作者の王谷さんが受賞インタビューで答えていたように(下にリンクあり)、「自分にとって自然な組み合わせを描いたら女性同士だった」といった作品が評価されているのもいいなと思いました。個人的には、従来の百合的な女同士に特別さを見出す作品だけではなく、ビアンから見た普通の世界を描いたら百合だったというような作品をもっと読みたいという思いもあったので、ババヤガには後者を感じて良かったです。もっとも、名前をつけないからこそ良いともいえる関係性に名前をつけるようで忍びなさも感じますが……。

・王谷昌さんの受賞インタビュー
https://www3.nhk.or.jp/news/html/2025070...

とにかく今話題の2作品、どちらも素晴らしいのでおすすめです!
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